■タイトル タイ1(バンコクで)
□文章作成 タイ・バンコク
□作成日時 2003年5月10日▼概要
私とウーヴァはタイへ入国、カオヤイ国立公園へよってからメガロポリス・バンコクへ行った。▼「先進国」タイ
国境とは一体何なのだろう。大地の上に一本の線が引かれ、その線を隔てて一気に環境がわかってしまう。特に貧富の差があるような場合その衝撃は大きい。カンボジアからタイへ入ったときも衝撃的だった。
土ぼこりの舞う未舗装路、あるいは舗装路と言ってもがたがたでざらざらした粗悪な道が突然路肩の広い真っ平らな道に変わった。表面もなめらかで同じ舗装路と思えないくらい快適だ。そして物があふれていた。
スイミングプールのようなところではしゃぐ子供たち。立派な郵便局。タイの田舎町でさえカンボジアの主要都市より設備が整っている。物のあふれるスーパーマーッケットにコンビニエンスストア。それも地元の人たちが気軽にジュースやパンを買いに来ているからびっくりしてしまった。
そして銀行とATM。CitiBankのカードを入れると何の時差もなく現金が出てきてあっけにとられた。このお金は本当に私の口座から引き落された物なのだろうか。何かの間違いではないか。パスポートを見せなくても良い物なのか。それとも無人に見える箱の中には誰かが隠れていて一部始終を見張っているのだろうか。そんな妄想すら起こるほど、タイは進んでいた。ここは先進国だ。
バンコクへ着くとその思いは確信に変わった。受けられるサービスは日本と何も変わらない。デパートや巨大ショッピングマートが並ぶ。日本資本のものも多い。東急、そごう、伊勢丹、ロフト、紀ノ国屋書店。紀伊国屋書店に並ぶ日本語書籍に囲まれながら立ち読みをしていると日本人同士の立ち話が不自然なく耳に入ってくる。赤ん坊のだだをこねる声や泣き声まで日本と全く同じだ。ここは本当にバンコクなのだろうか。
自転車店へ行く。そこにはアメリカ製のおしゃれなMTBが所狭しと並べられ、シマノ製の高価なパーツが積み重ねられていた。品揃えは日本の大型店と何一つ変わらなかった。それは台湾や韓国の自転車店の品揃えに勝るとも劣らないことを意味していた。
そして後述のMTBライダーたちとの交流を通じで、生活スタイルにも違いが感じられないことに気がついた。タイは先進国だ。間違いない。
▼服部さんと語る
バンコクではたまたまタイに来られていた(株)ビー・ユー・ジーの服部裕之社長とお会いする幸運に恵まれた。本当に気さくかつ飾らない方で、在職時代からの習慣で私ですら「服部さん」と呼ばせていただいているわけだが、札幌のITビジネスの草分けであり、多くの企業を取り仕切る大実業家だ。そしてここバンコクにも関連会社があり、グローバルな活動をされている。
その日はレストランでの会食から夜遅くまで実に多岐に渡って語り合うことができ、非常に楽しかった。話はタイ、中国、アメリカ、札幌、通信、政治、経済といった話で非常に幅広く興味深かった。そして合理主義や現在の資本主義にとどまらないところがまた面白かった。
次にどんな時代が来るのか。あるいはなぜ私はアンコールワットに感動したのか。恨み辛みの蓄積から見た戦争の話とアメリカ・中国。などなど話は尽きるところがなかった。
とにかく21世紀は確実に始まっている。そしてその最先端の芽は、実は至る所身近に転がっているのかもしれない。問題はそれを見る目があるか無いかだけなのかもしれない。▼CocoBike の仲間たちと
バンコク到着時になんと路上で自転車のパレードに遭遇した。何のイベントかと興味津々で話を聞いてみると実はBlue Gate Crossingという台湾映画のプロモーション活動であった。ともかくここで私は地元のMTBライダーたちと知り合う幸運に恵まれた。これを逃す手はない。一緒にシングルトラックを走りに行こう、と話しかけてみた。
そして週末の土曜日、私はCocoBikeの仲間たちとバンコク市内の公園や運河沿いの小道、そして椰子の森のシングルトラックを走った。案内役はリーダーのSanohさんだ。Sanohさんは運河の張り巡らされた迷路のような小道を本当に知り尽くしていて、最高のサイクリングになった。そしてSarawootさんをはじめとしてみな本当にフレンドリーで自転車を愛していて楽しかった。運河で泳いだり舟に乗った果物売りの女性が素敵だと言って長々と引き留めたり、そんな小さな一つ一つが最高に楽しかった。
そして翌日日曜日はOat君の招待に甘えて車に乗せてもらいMTBのクロスカントリーレースに出場させてもらった。バンコク近郊のためあまり起伏は無かったが、人工池の周りに一周10kmのコースが造られており、Bクラス、2周20kmのレースに参戦した。
結果は6位。「やった、入賞だ」と喜んだ私だったが、タイでは入賞は5位まで。ぬか喜びだった。結果はともかく、思いっきり汗を流して凸凹ダートを走れたことがうれしい。またしても最高の一日になった。
こうやって見ず知らずの人であっても自転車を愛好しているだけですぐに友達になれるのはすばらしいことだと思う。台湾で知り合ったたくさんの自転車仲間たちと同様で全く違和感がなかった。そしてあたかも何年も友達であり続けていたような錯覚をおこした。▼自転車病
フレンドリーなCocoBikeメンバーの中で、特に親しくなったのがSarawootさんだ。彼はモテて困るくらいいい顔をした好青年なのだが、不幸なことに重度の自転車病患者でもあった。なんと近々プログラミングの仕事すらやめてタイ国内を自転車旅行するそうだ。仕事中でも自転車の事を考えるとなかなか集中できないんだ、と笑う。
さらに驚いたのは好青年の彼、今、現に女の子にアプローチされているにも関わらず興味がもてないそうだ。そして、
「自転車と私、どっちを取るの?と聞かれたら、何も言えないけど答えは出ているんだ。」
と苦笑した。
「それはきっと質問が卑怯なんだ!そうに決まってるさ!」
私はそう言ってわざとらしく虚勢を張り、笑い返した。
本人たちはともかくとして、これは周りにはずいぶんはた迷惑な病なのかもしれない。そして本人たちに治す気が全く無いからまたたちが悪い。自転車病患者たちの生態はどこの国でもあまり変わらないらしい。
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