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■タイトル ディスクブレーキ讃歌 □文章作成 中国広西壮族自治区桂林市 □作成日時 2003年1月10日 ▼ブレーキの進化 たかが自転車のブレーキと思われるかもしれないが、そのたかがのブレーキがここ10年でずいぶん進歩している。1993年にアフリカへ行ったときは弱々しいカンチブレーキだった。今でも愛用者がいるからあんまりひどいことは書くと嫌われかねないが、あのブレーキはろくに利かない。確かに軽い、でも峠を下るだけで握力が減衰するような代物はもうごめんだ。第一危険極まりない。 それがある時からVブレーキに進化した。基本的にはカンチブレーキの延長線だが構造とワイヤー可動量に進化が起こり、飛躍的に利くようになった。パラレルリンクという機構も発明され、使っているうちにゴムパッドが内側に入り込んだりする現象も改善された。調整もかなり楽になった。 そして今、時代は確実にディスクブレーキに代わろうとしている。オートバイでおなじみの金属製の輪を左右から押さえつけることによって作用するブレーキだ。 おそらくこれを読んでくれている方の中にはツーリングにはそんな物不要だと考えている方も多いと思う。しかし一度使えばその良さは明白だ。特に重装備の自転車にとって安定した制動性能は本当にありがたい。速度、天候に寄らず、引いた分だけそのまま利く感覚は大きな安心感として旅をサポートしてくれる。 そしてディスクブレーキには長期ツーリストにとってもう一つ絶大なるメリットがある。 それはリムが減らないことだ。考えてみれば今までのブレーキの強引さを思い知らされる。車輪のリムにゴムを押しつけるわけだから当然双方が磨耗する。そして磨耗した結末はリムの崩壊だ。実際私の使っていたリムも長年の磨耗に耐えかね、韓国で割れている。そんな心配がディスクブレーキ一つで解消されるわけだ。これなら使わないと言う手はない。 ディスクブレーキのメリットはそれにとどまらない。Vやカンチと異なり泥はけ性がグンと良くなる点だ。舗装路しか走らない人には関係ないが、第三世界の泥道を知っている人は喉から手が出るほど欲するに違いない。 実際今回中国陝西省では、修路による悪路のため泥が詰まりタイヤが回らなくなった。仕方なく前後のVブレーキを外した。すると泥はけ性はぐっと改善され、その後は詰まることもなく無事走り切る事ができた。(後輪はDiskだったが、万一に備えVブレーキもスペア用に外さず残していた) 後輪のブレーキだけで走るのは危険だったが仕方がない。しかしもしディスクブレーキが無かったらどうだっただろうか。詰まる泥と延々と戦わざるを得なかったのではないだろうか。そう考えると、絶大なる恩恵を感ぜざるを得ない。そして早く前輪もDiskにしたいと切に思った。 ▼雪道の必殺技 さらにもう一つすごいアイディアがある。それは雪道での応急対策。タイヤ自体にリムごとロープを巻き付け、簡易タイヤチェーンとして利用する案だ。どうしても舗装路にターゲットを絞ったタイヤ選択になる旅人にとって、雪道は恐怖。しかしもし安価なひも一つで急場をしのげるとしたらどんなに助かることだろう。ちなみにひもを巻き付けるときは空気圧を一端下げる。これでしっかりと固定できる。 幸か不幸か今回、陜西省から重慶市へ入る1600mの峠で雪道を走った。そしてつい先日、湖南省から広西に入る前後でも大雪に見舞われ、この簡易チェーンを実際に試すことができた。 結果、ほぼ予想通りの効果を確かめることができた。まず、とけかかった様な柔らかい雪では見違えるような効果が得られた。ゲタタイヤ(タイヤに対して横向きのトレッドを持つ物の通称)よりグリップするくらいの威力だ。 一方、残念ながらアイスバーンでは効果は少なかった。もっともアイスバーンではどんなタイヤでも走行は難しい。ここまで来るとスパイクタイヤの世界だ。いや、ちょっと待て。ロープでなく、本物の金属チェーンを巻き付ける方法もある。これは次の機会のお楽しみだ。 次に耐久性についてだが、状況次第とはいえ中国製の安っぽいナイロンロープでも半日以上使うことができた。応急対策としては十分と思う。 最後に転がり抵抗のだが、舗装路を走ってもそうストレスがたまる増加は見られなかった。 そんなわけでディスクブレーキならではのアイディアは十分実用的だった。 ▼億鎮 今回の旅にあたり、ディスクブレーキを使う計画は当初からあった。しかし予算の問題だけでなく、やはり初物に対する不安から採用せずにVブレーキを使ってきた。ディスクだとハブも専用のものに買い換える必要もあったから。 しかし台湾の踏板上勇者三横旅で、なんと億鎮というブランドでディスクブレーキを作っている陳さんという方に出会い、ぜひ使ってみないかと言われ、試用するに至った。 残念ながらこの時試用した際にはハブやキャリアとのクリアランスの問題などが残り、その後は元のVブレーキに戻すことにした。しかし今回帰国した際、いくつかの問題を回避し、11月から後輪のみディスクブレーキを使うことが可能になり、今に至っている。 使い心地は、最高だ。引いた分だけ確実に、安定して利く。当たり前のことだが重装備の自転車にはとてもありがたい。 欠点は雨や雪の日だとパッドがかなり速く削れること。元々はブレーキの発する熱で水分は蒸発し、乾燥が保てると考えられているのかもしれないが、ツーリングではそうも行かないのが現実だ。雨天用のパッドがあればそれを使うのが良いだろう。 ちなみにこの億鎮のディスクブレーキはメカニカル式で油圧は用いていない。従って万が一の際にVブレーキに戻すことは易しい。 ディスク自体の耐久性や、思わぬアクシデントなどまだ未知の問題も出てくるかもしれない。しかしいずれにしても、今後は間違いなくツーリストの間でもディスクブレーキが主流となる事を確信した。少なくとも「世界一周を目指す様な長期ツーリストには必携のブレーキ」そう言われる時代が、もう目前だ。 以上、私はディスクブレーキを絶賛する! | TOPページ | コラム |
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