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□題名 コラム「博物館めぐり」 □記載場所 仙台など □送信場所 東京 ▼博物館めぐり 博物館・資料館へ行くのは結構好きだ。どこも同じ様でも多く見ていくと少しづつ良し悪しがわかるようになるし、時折り掘り出し物に出会えることがある。 確かに退屈なところも多い。20年くらい変わらぬ展示、埃のかぶった剥製、ちゃちで信憑性に乏しいジオラマ、やる気のないパートの職員。絵に描いたような薄暗い展示室。北海道網走市の「モヨロ貝塚館」、利尻富士町の「郷土資料館」など典型的なこのタイプ。北海道弟子屈町の「アイヌ民俗資料館」もやる気が感じられず、お粗末だった。 残念ながらこのタイプは地方の郷土資料館に多い。それらは文字通り「建物ごと保存された博物館」になっている。 もちろん新しければ良いわけでも無い。お金だけかけた懲りすぎ資料館もある。北海道芦別市の「滝沢ダム資料館」では白壁の通路を歩いていたら突然壁に文字やら写真が浮かび上がった。どういう仕掛けだか知らないが意表を突く斬新な展示だ。しかし懲りすぎていて落ち着いて説明が読めない。せっかく読みかけても着いたり消えたり。CGに懲りすぎただけのNHKスペシャルの様だ。 北海道奥尻島青苗の「奥尻島津波館」もこの傾向が強かった。モニュメントとして見ればすばらしいが、展示の内容自体は物足りない。それまでの歴史、津波の事実、そしてそれらをふまえた今後の対策というある程度論理的な展示を期待したい。感情的、情緒的な展示では、見たときは衝撃的でも今後に生かされることなく忘れられてしまうのではないかと心配になった。 その一方で目を見張るようなすばらしい博物館もある。概してそれは単純に学芸員のやる気と好奇心に満ちている所だ。前述の利尻島だが、西側の利尻町の仙法志にある「利尻町立博物館」はすばらしかった。展示こそ多少時代を感じるが、一つ一つに最新の状況を示した紙が添付され、見ている人の興味が引き出される。立派なパネルなど無く、パソコンで打ち出しただけの解説だが、見かけの安っぽさなど感じさせないほど内容が濃く、学芸員の方の熱意や興味・関心の広さが伝わってきた。こんなところにいると見ている方まで関心が広がり、やる気が沸いてくる。すばらしい! 群馬県群馬町の「かみつけの里博物館」もすばらしかった。わかっていることだけでなく、わかっていないことに視点を定めた展示が良かった。それは一見同じように見えても決定的に違う。 たとえば展示パネルには、そこここに影法師の姿と未知への疑問や試考の声が記されていた。それを読んでいると自分の中で疑問が次々と反復生成され、興味が沸いてくる。 特別展もすばらしかった。群馬という地名の謎解きの形態をとり、わかっていない事柄をわからないままに展示解説していた。無味乾燥な遺物は、地名起源の謎解きという形をとることにより一気に過去からの強烈なメッセージとしなって説の真偽を越えて見るものに訴えかけてくる。謎に満ちあふれた古代史の中で、専門家も一般の見学者も同じ視点に立って想像力を働かせられる。そんな展示が新しく新鮮だった。 個性派で言うと北海道神恵内村の「日本郷土玩具館」、それから宮城県中新田の「縄文芸術館」が良かった。どちらも創始者の愛情がじんと伝わる展示だ。 特に縄文芸術館は必見。無味乾燥な考古学館の縄文土器と何が違うのだろうか。そこに置かれている物は同じ縄文土器。しかし見る視点が変わるだけで様相は一変する。こんなにも情熱的で自然や神を感じさせてくれる芸術が世界中にあっただろうか、と。 福島県の只見川を走っていたときに見つけた物がある。川面の風紋だ。その細かいひだのような光のきらめきは「縄文土器によくある模様」としか言い様のない様な美しい紋様だった。そして逆にこれまでこんなにも写実的な模様ですら、流れと光のきらめきを感じることができなかったことに改めて愕然とさせられた。一体いままで何を見て旅してきたのだろう。 一見謎めいたいくつもの紋様も、実は縄文人にとっては身近で当たり前の写実だったりするのではないだろうか。気づかないのは現代の私たちだけなのかもしれない。 北海道平取町の「萱野茂二部谷アイヌ資料館」や北海道網走市の「北方少数民族資料館ジャッカ・ドフニ」なども地味ながら管理者の愛情に満ちた資料館で楽しかった。何気ないコメントの一つ一つが見る人に静かに訴えかけてくれる。青森県市浦村の「歴史民俗資料館」も村営にしては中世港湾都市・十三湊についてとても詳しく充実してよかった。 ▼走る図書館へ 博物館といえば本を買うことも楽しみの一つだ。通常の本屋では決してお目にかかれない、たとえあったとしても見落としてしまうような選り抜きの一冊に出会える。そこでここでは旅先の博物館、資料館などで購入した本を紹介してみよう。 ▽北海道常呂町「ところ遺跡の館」で購入 「増補アイヌ考古学」宇田川洋/北方新書(北海道出版企画センター) 中世アイヌとチャシ文化、アイヌ文化の独自性などについて厳密に論じた一冊だった。かなり学術的で読みやすくない本だが、考古学的な視点がよくわかった。 ▽岩手県花巻市「宮沢賢治イーハトーブ館」で購入 「宮沢賢治」吉本隆明/ちくま学芸文庫 まだ読みかけ。それにしても宮沢賢治の熱狂的な法華経信仰はどこから生まれたのだろう。 ▽岩手県北上市「鬼の館」で購入。 「北天鬼神--阿弖流為・田村麻呂伝--」菊池敬一/岩手日報社 東京にて読み始めた。読み始めて期待以上の内容に驚いた。特に田村麻呂にまつわる浄瑠璃などをたくさん掲載し、伝説の真偽をこえて実像に迫る凄みが感じられる。 ▽宮城県中新田町「縄文芸術館」で購入 「私の縄文美術鑑賞」宗左近/新潮選書 縄文土器を美術品としてとらえようとする一冊。読めば縄文土器のすばらしさに開眼できる。「考古学」は遺物を形状や様式でしかとらえようとしてないのではないか、心で見ようとしていないのではないか、と問いかける。 ▽宮城県多賀城市「東北歴史博物館」で購入 「みちのく古代 蝦夷の世界」大塚初重ほか/山川出版社 1990年に行われたシンポジウムをまとめた物。読みやすい一冊。 「古代蝦夷の英雄時代」工藤雅樹/新日本新書 まだ読みかけ。アイヌ民族が縄文からの日本における先住民の末裔であることを確認し、その成立過程と和人社会との関わりを追っている。示唆に富み面白い。 博物館めぐりはまだまだ続きます。お勧めのところがあれば是非教えてください! 以上「博物館めぐり」でした。 | TOPページ | コラム |
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